作品のご紹介,いつか見た蒼い空,株式会社シーズ・プランニング

釜ゆで工場,いつか見た蒼い空,株式会社シーズ・プランニング

釜ゆで工場

2000年9月(P.2掲載)
夏にバイクでひとり旅に出かけたことがきっかけで、最初に描いたのがこの作品でした。まさに、バイクに乗りながら見ている感覚があります。初期の作品で、道路が画面のかなりの部分を占めるのは、バイクからの目線によるものなのでしょう。夏の日差しと地面からの照り返しのためか、色彩も鮮明でクリアです。これから始まる旅への思いを感じます。

町の銭湯,いつか見た蒼い空,株式会社シーズ・プランニング

町の銭湯

2004年7月(P.12掲載)
蒼い空に高くそびえる煙突のある銭湯。この作品は神戸新聞に掲載された「郷愁の風景」の挿絵です。建物の白い壁に清潔な印象をうけます。銭湯の入り口だけに暖色を配置しているのが、画面に温かみを感じさせるのに効果的です。水色ののれんが、風になにげなく揺れているところにひとの行き交いを感じます。因みに画中の煙突は震災のおりに壊れてしまい、今は、新しいものに変わっています。

夏の昼下がり,いつか見た蒼い空,株式会社シーズ・プランニング

夏の昼下がり

2005年6月(P.22掲載)
作者は、気に入った風景なら、何度でも描きたいと言います。筆者もある時、偶然この前に立ち、原画そのままの風景に驚きました。まるで、絵の中に入り込んでしまったような錯覚に陥ったからです。一本の大きな木は、おそらく、この店より古くからそこにあったことでしょう。まるで長寿の木を労う様に、木の葉が一枚一枚丁寧に描き込まれています。お店のにぎやかさとは対照的に、木は静かに語っています。

別府港,いつか見た蒼い空,株式会社シーズ・プランニング

別府港

2006年5月(P.25掲載)
「人間くさいものに惹かれる」と語る作者にとって、兵庫県加古川市の工場に囲まれた別府港もそのひとつです。海からの風にさらされて錆付きながらも健気に働く機械を擬人化したように凛とした佇まいで描き出します。工場の事物が織り成す静かな世界は、作者の心の色を映し出しているようです。

6月の晴れた日,いつか見た蒼い空,株式会社シーズ・プランニング

6月の晴れた日

2006年4月(P.27掲載)
「郷愁の風景」が好評を受け、引き続き「やわらかな情景」という連載がはじまります。この連載では、作者自身が文章も手がけました。海辺近くに電車が走る明石界隈には、こんなガード下がいくつもあります。山側から海に抜けるためには必ずくぐらなくてはなりません。鬱陶しい梅雨の晴れ間の清々しさと、ガード下をくぐりねけることにより、光景が変わるわくわくした気持ちが相まって、何とも心地よい作品です。道路脇に見事に咲き誇るアジサイの前には、同時期によく見かけるアバンサスの花も添えられています。

冬の船着き場,いつか見た蒼い空,株式会社シーズ・プランニング

冬の船着き場

2006年7月(P.28掲載)
空気がきりりと透きとおる季節には、遠くの煙突もくっきり見えます。なんでもない風景には、私たちが日々感じつつもすぐに忘れてしまいがちな、しかし大事なことが隠れているかのようです。眺めているうちに、あの日の記憶がよみがえりませんか。

時計のある分かれ道,いつか見た蒼い空,株式会社シーズ・プランニング

時計のある分かれ道

2007年12月(P.71掲載)
作品の多くは紙にポスターカラーで描かれていますが、いくつかには、よく磨かれたシナベニアにアクリル絵の具が使われています。この作品もアクリルによるもので、蒼い空の冴えた透明感が、真夏の昼下がりを思わせます。見知らぬ町で道に迷ったような、不安な気持ちになる不思議な雰囲気が潜んでいます。

子午線のあるまち,いつか見た蒼い空,株式会社シーズ・プランニング

子午線のあるまち

2009年4月(P.78掲載)
晴れやかで、堂々とした中にも、繊細な表現がみられるこの作品は、展覧会のために新たに描かれたもので、ポスターにも用いられました。がらんと空いた駐車場にぽつんと置かれた赤い自転車に自らの存在をさり気なくしめしているかのようにも思えます。作者のこれまでの作品要素が、凝縮された意欲作と言えましょう。

住吉神社の夕焼け,いつか見た蒼い空,株式会社シーズ・プランニング

住吉神社の夕焼け

2009年4月(P.80掲載)
オレンジ色の夕焼けは日の沈むまでのほんのひと時でしょう。海の向こうには、神社の森が広がります。瀬戸内の穏やかな海に浮かぶ船は、見るものに永遠の時の流れを感じさせます。